いなたいショーケース

反射的に投げ込んでいく実験です

高校生のコミュニティデザインに思ったこと

先週の金曜日は豊島区の都立千早高校におじゃまして、「コミュニティデザイン」の授業を見学してきました。

この授業は、高校生自身が身の回りの関心ある社会課題に対して、独自の調査や現場での体験などのアクションを行い、理想の社会像の実現に向けて解決策を提示する、というもの。 千早高校は2004年に開校した新しい高校で、ビジネス教育を重視した特色あるカリキュラムの中でも初期の頃からこの「コミュニティデザイン」の授業が行われてきたそうです。昨日は約1年間生徒たちが行ってきた取り組みの発表会でした。

 

発表した9人の生徒たちは、自分の関心や行動の軸に沿ったコミュニティへのアクションを、素敵なプレゼンで発表してくれました。

発表の感想としては、自分の好きなこと、アイデンティティ、これまでの体験など、かなり共感性の高いテーマの発表が多く、一人ひとりの発表に引き込まれたのはぼくだけじゃないはず。まるでオムニバスのショートストーリーを聴いているようでした。

発表のスライドには描かれないものの、詳しく聞いてみると背景にはその子のコミュニティデザインのストーリーがあったり。人知れずチャレンジをしていたり。もうね、初めて会った子の発表なのに涙ちょちょぎれちゃいます。

 

プレゼン自体も本当に上手! 立ち振る舞いが堂々としていたのはもちろんですが、アイコンタクトをしっかりとってくれたり、ちょっとした動きのあるワークを盛り込んだり、ジョークを言って緊迫感のある状況をリラックスさせたりと、とても高校生のプレゼンとは思えないような落ち着きよう。

見ている人の注意を惹くのが上手な子ばっかりで、ぼく自身が人見知りで緊張しいなので羨ましく思えました。笑 きっとしっかり練習してきた成果なのでしょう。

 

ゲストとしてコメントをしていたライターの方は、 ①ストーリー性 ②どれだけの課題解決を盛り込めるか(一石何鳥であるか) ③楽しく継続できるか

という3つの観点に着目するようにということを言われていましたが、確かにステークホルダーをどれだけ増やすか、どれだけ人を巻き込めるか、というのはすごく重要かなと。小さなアクションでも、他者との共感の接点が多ければ多くの人に関わりを持ってもらえるようになりますよね。9人の発表はその点で工夫されていたものが多かったように思います。素晴らしかった。

 

ちょっとだけぼく自身の話をさせてもらうと、ぼくは高校生時代に特に自分のやりたいと思える活動軸もなく、社会課題や身の回りの疑問に対してアクションを起こすこともない、普通の生徒でした。問題に対して興味がないというわけではなかったのですが、自分の中で「高校生が一般社会に対して与える影響なんて小さいものだ」という考えに囚われていたのだと思います。やりたいことをとことん突き詰めようと思わなかった理由の一つがそれでした。

今でこそ灘高出身のクリエイターであるTehuくん(@tehutehuapple)だとか、女子高生起業家の椎木さん(@rikashiikiamf)のようなティーン活動家がメディアで取り上げられるようになってきましたが、それもごく最近のこと。ぼくは中高生の間でいいロールモデルに出会うことができませんでした。

しかし千早高校の生徒たちは周りに素晴らしい大人たちがいて、自分の軸をもって活動を深めようとしているから、ぜひともアクションを形にして、仮説検証を繰り返し、自分の限界に囚われることなくチャレンジしてね。お兄さん期待してます。

「興味・関心の追求に年齢の限界はない」という、ぼくが大学に来てやっと(恥ずかしながら)知ることができた大切な言葉があります。彼らには若さあふれる活動で、これからもぼくたちに、社会に刺激を与え続けて欲しいと思います。