いなたいショーケース

反射的に投げ込んでいく実験です

【48G】指原莉乃はポスト前田敦子に収まらない

※タイトル参考 「ポスト前田敦子探しの終わり」(インターネットもぐもぐ) 「むしろポスト前田敦子が指原莉乃だった説」(小娘のつれづれ)ご紹介ありがとうございます!  

久しぶりに何か書こうと思うんだけど、個人的にすごく心にひっかかりを感じているAKB総選挙について書く。

結果は速報トップだった指原さんが、大島優子さん、渡辺麻友さんから逃げ切り1位という、なんとも大きな波乱が起きたんだけど、でもこれはこれでいいよねってぼくは思ってる。ネットではさんざんなことを言われてるし、大人の事情も勘繰りたくもなる。それはそれで、この結果はおもしろいじゃん、って。 一つだけ言っておくのが、自分は超ライトな在宅オタで、選挙に強い思い入れがない、ということ。推している子はいるけど、そういうミクロな話じゃなくて。 もちろん、お祭りだからめでたいけどね。

 

後悔はしないが、小さな反省はいつもしている。最新の反省はさしこが1位になったこと。次のシングル、どういう曲を作ればいいのか・・・・ 秋元康、指原莉乃センターに「反省している」  AKB次のシングルの悩みを告白!-PR TIMES  

「何を反省することがあるんだ」「全て自分の思い通りだろ」といったオタの声が聞こえてきそうだけど、もし本当に反省することがあったとしたら、それは指原さんが自分の想像していたよりも大きな力をもって総選挙に臨んできた点だと思う。

一つ、投票数に関してこんな話が。

 

 

64位までの投票数しかわからないわけで実際は何とも言えないところだけど、それでも指原さんが九州票を一挙に獲得したと見るのは間違いではないと思う。指オタ+HKTオタ。そのくらいHKTに行ってからの精力的な活動はわかりきった話だし、まあそりゃ躍進するよなって。そりゃねえ。 でも、その躍進は本当に想像以上だったのではないかと思う。博多に左遷されたはずのスキャンダラスな女の子が、妹分の世話をしながら駆けずり回っていくうちにこんなにも大きな基盤を作り上げて戻ってきた。地元のバックアップは、まるで大物議員。

今回の総選挙を機に、グループの軸には王道のアイドル性を持った女の子を据えて、「ポスト前田敦子」となった女の子があっちゃんや優子の幻影(?)と戦いながら名実共に成長していく……そんな物語をファンは求めていただろうし、秋元さんもそんなAKB第2章を作りたかっただろうけど、現実はそう上手くはいかなかった。反省しているとしたら、「王道アイドル」のAKBを願うファンの期待に応えられなかったことを指すのかもしれない。まあ、結果としては「邪道アイドル※1」の票が多かったっていうよりも、HKTオタからしたら「功労者」が選ばれた、ってだけなんだけど。

ただ、もしかしたら秋元さんにはこの結果は予測できたことかもしれないし、むしろこの結果は裏で描かれたシナリオ通りなのかもしれない。その辺はエンターテイメントを無垢に信じているわけではないのだけど、指原1位という結果を最大限利用することに運営側がシフトしているのではないか、ということを感じるのです。受容している。 次の選挙までのグループの顔がバラエティ担当なことに関してはやりづらさしか残らないと思いきや、結局は32ndシングルのセンターなのであって48グループのセンターになったわけではない。むしろキャラ的には「1位様〜」「こんなんが1位やねんてどう思う?」みたくイジられやすくなって運営側にとっては好都合だろうなーなんて。

今まではAKBは消費者に青春とか、キラキラ感とか、ときどきシリアスとか、まあ形容は何でもいいし思いつかないんだけど、10代〜20代前半の女の子たちが頑張る姿を能動的にメディアで表出していたわけだけど、指原さんがセンターに立ったことでそこに「ちょっと待てよ」っていうツッコミを入れたくなるわけです。ボケられちゃってる。 アイドルっていう第1印象でイメージを決めつけられてたAKBは、「あれ、もう少しよく見てみよう」って思わせてからが勝負で、立ち止まらせたらそこから持ち前の多様性を活かしていけばいいんです。

歌やダンスが特段上手いわけではなく、バラエティ志向で、アイドルオタク、その上スキャンダルも出ちゃう大分出身の少女が、約400人にものぼる大組織のトップに立ったのだから、そりゃ「おいおいwww」みたいな感じにもなる。 そういう意味でAKBは今回の総選挙で能動的な動きから、すごくレスポンシブな対応ができるアイドルグループになったのだと思います。最初にアイドル性を弱く留めておいて、センターのキャラクターでつかみ、そこから遠慮なくフレームワークをぶち壊せるタレントをどんどん放り込む体制が完成しつつあるのではないか、と。こっちの方が「闘える」システムですよね。

指原さんがここまでの活躍を見せるとは秋元さんは思ってなかったのかもしれませんが、もし最初の「反省している」という言葉を考えた時、予想以上にAKBにはなくてはならないパーツにさせてしまったこと、田舎育ちの少女に重い責任を持たせてしまったことへの反省なのかもしれない、とか想像したりして。まあ、その辺はよくわかりません。 でも割と指原1位は必然性というか、次へのステップに順調に移行しているんじゃないかな、って感じます。組織の成長の時間軸に着目してみたら「ポスト前田敦子」は指原さんでいいと思うし、ストーリー性で言えばこれ以上ない存在ですよね。

むしろ、前田-指原の流れがすごくいいんじゃないかとも思います。あっちゃんが作ったアイドル像があるからこそ、さっしーのキャラが活きてくるわけですよ。その流れの滑らかさたるや、野球で言うと荒木-井端、みたいな(古い?)。あとは後続のパンチ力とさっしーのコンディション維持が重要かな。ってこれ、マジでスポーツじゃん!、って思いました。 ただ、AKBシステムの根幹を担うっていう、言わば「指原シフト」みたいな感じなので「ポスト前田敦子」っていうのは違う気がします。さっしー強打者って言うか、新庄みたいな良い意味の曲者になってきちゃった。笑

というわけで雑多な書き方でしたが、最後に。 能動的な特攻型グループから、レスポンシブな強者の戦い方に移行しつつあるAKBの象徴、指原莉乃さんに幸あれ。 努力している48Gの皆さん、それ以上に幸あれ。

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※1 小林よしのりさん、「邪道には邪道のポジションがある」 AKB48総選挙の指原莉乃1位を受けて