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【震災】桜ライン311の報告会に行ってきました

日曜日に明治大学で行われた、NPO法人桜ライン311(@sakuraline311)の活動報告会に参加してきました。

桜ライン311は団体自体に元々興味がありながらも、今までは詳しくお話をお聞きする機会がありませんでした。 しかし今回、大阪・名古屋・東京での報告会開催という絶好の機会だったのと、何かとお世話になることが多い小川光一さん(@Koichi_Ogawa)が理事を務めていることもあり、今回お邪魔することに決めました。

桜ライン311 | 陸前高田市の津波到達点上に桜を植樹し、震災を後世に伝える為のプロジェクト
桜ライン311は東日本大震災による津波の到達地に桜を植樹し、その桜を津波による教訓として、そしてもし次に津波が起きた時の避難の目印として、後世に伝承していくことを活動としています。

岩手県陸前高田市内約170kmに渡る津波の到達ラインに10mおきに桜を植樹する…ということでざっと1万7千本の桜を植樹する、という一見途方も無い目標かに見えますが、個人的には以下の2点が共感を集めているのだと思います。

活動のストーリー性

支援者を集めるには活動方針を十分に理解していただくことが不可欠ですが、桜ライン311の活動は非常にそこがわかりやすい。

防災意識の啓発や、震災の教訓の伝承というのは言うのは単純ですが、その方法論には、復興活動が被災地の方々の手によってある程度自走できるか、また、どれだけ人を巻き込めるかの拡散力などの見方でいろんな議論が起こると思います。特におじいちゃんおばあちゃんが孫たちに「これこれこうしなさい」とか言う口伝えを頼りにするものは、思ったほど長続きしないんじゃないかと。たいてい。

一方、桜ライン311は行う活動は主には桜の植樹。

"津波の到達地点に植えられた170kmに及ぶ桜ラインは一種の復興のアイコンとして全国から人を集め、毎年満開になる桜に付随する形でその存在の意味が住民によって語られる。”

活動の影響を、そんなストーリーで思い浮かべられます。 人ではなく、その土地自体が語り始めるような、アフォーダンスにあふれるストーリーが防災まちづくりには重要でしょう。

日常への連続性

もう一点は上述した被災地の方々による復興活動の自走に関連しますが、外部からやってきたNPO(外部とは限りませんが)の復興支援が長く続くには多くの壁があると思います。

本来、復興活動は住民の方々が主体的に動いてこそ意味のあるものですし、活動をしっかりと住民たちのものとして動かしてもらうことが最終的な目標になりえるでしょう。しかし、例えば復興活動の住民の負担が大きいとそこまで長続きせず、自走もなかなか難しくなる。そこで重要になってくるのが、復興活動をいかに住民の日常に近づけるか、だと思います。

特別に行われる講演などの啓発に効果はあるでしょうが、一方的に語る教訓にぼくはあまり影響性を感じません。それよりも、日頃から見慣れた桜を介して、その場に居合わせた人と対話を繰り広げることにこそ意味があると思います(その方が本当に伝えたい言葉が自然に生まれるだろうという、あくまで個人的な考え方です)。

しかし、震災の体験について語るのは被災者の方にとっては非常に辛いことでしょうし、そのことを常に考えるのはとてもむずかしい。そんな、あくまで非日常的な震災を、日常につながる「桜並木」として後世に残し、樹を前にしたその時その時点だけ即興的な伝承の場にする。 そんな効果が桜ラインにはあるのだと思います。

 

以上2点から雑多に自分の考えを述べてきましたが、東日本大震災から2年以上が経過し、防災への意識も薄れ始めているであろう現在に、震災の教訓を「他人ごとから自分ごとに」変えていく活動はこれからも広まっていけばいいなと思います。

そして何より、満開に咲く桜ラインが見たいですね! 報告会自体で感じたことはまた今度。

 

春はまた来る~桜ライン311、2013年始動 - Togetter

今年度の活動に関してはこちらもぜひ。