いなたいショーケース

反射的に投げ込んでいく実験です

結プロジェクトにワクワクする心を思い出した

H2Aロケット打ち上げ成功 GPM衛星、予定の軌道に:朝日新聞デジタル

昨日の早朝、というか朝3時ごろですね。種子島からH2Aロケットの打ち上げが行われました。 今回の打ち上げに関する主なミッションは全球降水観測(GPM)衛星という、今よりも地球の降雨量や気象情報を詳しく観測できる衛星を飛ばすことらしく、近年異常気象が目立つ日本だけでなく国際的にも意義のあるプロジェクトのようです。技術開発のノウハウを国の間で伝達するのではなく、観測データを各国間でやりとりして自国の気象予測に役立てることがこれからの時代に重要なのでしょうね。

さて、そんなロケット打ち上げなんですが、実はリアルタイムで見ていました。大学で。 実は今回のH2Aロケットには日本の大学で開発された小型衛星がいくつか積まれており、筑波大学の衛星もその中に含まれていたのです!昨日はその小型衛星プロジェクトが主催してパブリックビューイングが未明から行われていたので見に行ってきました。

筑波大学の衛星はITF-1と言う名前らしいのですが、愛称は「結(ゆい)」。衛星信号を用いて世界の人々を結びつけることをミッションとしているようです。

誰もが簡単に衛星信号を受信・報告でき、衛星と受信者のみならず受信者同士をつなぐ仕組みを作ります。宇宙に親しみのない人や、子供のうちから衛星に触れることで、宇宙開発の裾野を広げます。そこで構築されたネットワークから、宇宙を題材にした新たなミッションが生まれることも期待でき、未来へ向けた無限の可能性を秘めています。 About : 筑波大学ネットワーク衛星「結」プロジェクト ~ University of Tsukuba YUI Project

パブリックビューイングには朝3時という時間にも関わらず、大学の講義室に50人以上が集まっていました。

種子島にいるプロジェクトスタッフの筑波大生とskypeを繋いでインタビューなども。 ロケットが無事打ち上がる前から興奮している様子がとても印象的でした。「ぼくたちにはこの打ち上げがゴールではなく、スタートです」っていう言葉、スケールが宇宙になるとさらにカッコよくなるんだな… みんな心から楽しんでいて、すごい羨ましく思いました。

最近では先輩の鈴木裕行さんが、リクルートジョブズ主催のプレゼンイベントで「宇宙の魅力で多くの人を笑顔にしたい」と題して発表、見事優勝されたりと、宇宙関連の話題が身近に多く出てきています。筑波大の新たな看板領域になって欲しいですね。 「大学生の夢」実現に100万!天文学者のタマゴの新たなアイディアに。(秋元祥治) - 個人 - Yahoo!ニュース

ぼくも小さいころから「宇宙のひみつ」みたいな漫画を読んで育ったのでこういう話題には本当にワクワクします。星座とかめっちゃ覚えて、田舎の澄んだ星空をよく見上げていました。結のスタッフや鈴木さんは、みんな時折子どものように屈託のない笑顔を見せますが、ぼくも打ち上げの瞬間は前のめりになって画面を見ていたくらい、子どもの頃の気持ちを思い出させてくれました。

宇宙もそうですが、何が起こるかわからない場所には本当にロマンが溢れています。それは空の向こうでも、海の向こうでも、山の向こうでも同じで、そこに足を踏み入れようとする心意気そのものが今の生活を変化させていくのでしょう。スケールはどうであれ、小学生の頃に隣町の公園に遊びに行った感覚で、これからも常に面白そうなところへ冒険していきたいなと思います。

NYタイムズが解説するフィギュア羽生選手の画像がわかりやすい

【フィギュア】羽生、男子初「金」ソチ五輪日本1号!:冬スポ:スポーツ:スポーツ報知

ついにソチで日本人金メダリストが生まれましたね。羽生選手はそのあどけない表情とかわいらしいキャラ(こんなこと言うと失礼かもしれないですが)で日本のみならず現地でも人気があるようで。 いつもプーさんのぬいぐるみが彼のスケーティングを見守っている画は有名になりました。

 

フリーの演技では羽生選手は2回転倒してしまったのですが、それでも高得点をマーク。その判定にネットでは疑問の声があがっていました。そんなことを知ってか知らずか、彼の金メダル獲得の理由をNYタイムズが解説したグラフィックが話題になっています。

Hanyu Falls Twice, but Still Wins Gold - NYTimes.com

記事では羽生選手と銀メダルだったパトリック・チャン選手のジャンプの得点をわかりやすいグラフィックと共に掲載しています。とても見やすい!勉強になりますわー。

比較画像と解説を見たところでは、演技構成のジャンプの基礎点に大きな差があるのがわかります。ショートプログラムより約2分ほど長いフリーの後半にトリプルアクセルが2回入っており、疲れのたまるこの時間にジャンプを入れ込んだ構成に脱帽。うん、カッコいい。

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a_triple-axel-double-toe-h5                   - The New York Timesより

普段の姿からは想像できないような力強さを感じるスケーティング。 ここからさらに表現力が増していけば、憧れのプルシェンコに肩を並べるようなレジェンドになってくれるはず。期待できますね。

そして5位の町田選手、6位の高橋選手もお疲れ様でした。メダルには惜しくも届きませんでしたが、オリンピックの舞台で活躍する日本人選手が見られて感動です。ソチ五輪、ますます盛り上がりそうですね!

それでは!

高校生のコミュニティデザインに思ったこと

先週の金曜日は豊島区の都立千早高校におじゃまして、「コミュニティデザイン」の授業を見学してきました。

この授業は、高校生自身が身の回りの関心ある社会課題に対して、独自の調査や現場での体験などのアクションを行い、理想の社会像の実現に向けて解決策を提示する、というもの。 千早高校は2004年に開校した新しい高校で、ビジネス教育を重視した特色あるカリキュラムの中でも初期の頃からこの「コミュニティデザイン」の授業が行われてきたそうです。昨日は約1年間生徒たちが行ってきた取り組みの発表会でした。

 

発表した9人の生徒たちは、自分の関心や行動の軸に沿ったコミュニティへのアクションを、素敵なプレゼンで発表してくれました。

発表の感想としては、自分の好きなこと、アイデンティティ、これまでの体験など、かなり共感性の高いテーマの発表が多く、一人ひとりの発表に引き込まれたのはぼくだけじゃないはず。まるでオムニバスのショートストーリーを聴いているようでした。

発表のスライドには描かれないものの、詳しく聞いてみると背景にはその子のコミュニティデザインのストーリーがあったり。人知れずチャレンジをしていたり。もうね、初めて会った子の発表なのに涙ちょちょぎれちゃいます。

 

プレゼン自体も本当に上手! 立ち振る舞いが堂々としていたのはもちろんですが、アイコンタクトをしっかりとってくれたり、ちょっとした動きのあるワークを盛り込んだり、ジョークを言って緊迫感のある状況をリラックスさせたりと、とても高校生のプレゼンとは思えないような落ち着きよう。

見ている人の注意を惹くのが上手な子ばっかりで、ぼく自身が人見知りで緊張しいなので羨ましく思えました。笑 きっとしっかり練習してきた成果なのでしょう。

 

ゲストとしてコメントをしていたライターの方は、 ①ストーリー性 ②どれだけの課題解決を盛り込めるか(一石何鳥であるか) ③楽しく継続できるか

という3つの観点に着目するようにということを言われていましたが、確かにステークホルダーをどれだけ増やすか、どれだけ人を巻き込めるか、というのはすごく重要かなと。小さなアクションでも、他者との共感の接点が多ければ多くの人に関わりを持ってもらえるようになりますよね。9人の発表はその点で工夫されていたものが多かったように思います。素晴らしかった。

 

ちょっとだけぼく自身の話をさせてもらうと、ぼくは高校生時代に特に自分のやりたいと思える活動軸もなく、社会課題や身の回りの疑問に対してアクションを起こすこともない、普通の生徒でした。問題に対して興味がないというわけではなかったのですが、自分の中で「高校生が一般社会に対して与える影響なんて小さいものだ」という考えに囚われていたのだと思います。やりたいことをとことん突き詰めようと思わなかった理由の一つがそれでした。

今でこそ灘高出身のクリエイターであるTehuくん(@tehutehuapple)だとか、女子高生起業家の椎木さん(@rikashiikiamf)のようなティーン活動家がメディアで取り上げられるようになってきましたが、それもごく最近のこと。ぼくは中高生の間でいいロールモデルに出会うことができませんでした。

しかし千早高校の生徒たちは周りに素晴らしい大人たちがいて、自分の軸をもって活動を深めようとしているから、ぜひともアクションを形にして、仮説検証を繰り返し、自分の限界に囚われることなくチャレンジしてね。お兄さん期待してます。

「興味・関心の追求に年齢の限界はない」という、ぼくが大学に来てやっと(恥ずかしながら)知ることができた大切な言葉があります。彼らには若さあふれる活動で、これからもぼくたちに、社会に刺激を与え続けて欲しいと思います。

 

【〈ハタラク〉をデザインする】山崎亮さんと大南信也さんの対談で思ったこと

 

先週火曜日にコミュニティデザイナーの山崎亮さんによる対談イベントに行ってきました。 タイトルは「〈ハタラク〉をデザインする」というもので、毎回異なったゲストと一緒に新しい働き方を考えよう、というイベントです。

山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする - Asahi Shimbun Digital[and]

過去の対談の記事もあります

 

 

ぼくが行ったのは第6回。ゲストはNPO法人グリーンバレーの理事長である大南信也さんでした。 大南さんは徳島県神山町で90年代初めから住民主導のまちづくりをされてきた方で、日本で早くから地方の活性化に努められていました。

これまでの5回はゲストの働き方に着目していたようなのですが、山崎さんも大南さんもまちづくりをお仕事とされていることもあり、今回の対談はより「地方でコミュニティにアプローチする」ということにフォーカスしたものとなったようです。

会は15分ほど大南さんがお仕事の内容を紹介された後、参加者で5〜6人のグループを作り、話し合って質問を出すという流れになりました。その中で感銘を受けた大南さんの言葉をメモします。

「やりたい人がやればいい」

「地元の方をどうやってまちづくりの活動に参加させればいいか」という趣旨の質問の答え。 振り切っているように思える言葉ですが、確かに全ての人に自分たちの活動を賛同してもらえるなんてのは現実的に難しい。どうしても地域自治体はお役所的に数字で結果を求めてしまうかもしれませんが、どれだけ参加人数が少なくても、その中で現れた成果の質を重視したいというのが大南さんの考えだそうです。

また、神山町で活動する他のNPO団体の連携についても、「それぞれやりやすいこと、やりたいことがあるのでそのままにしておく」とのこと。あまり活動の関連が強くない団体とのネットワークづくりを優先するのではなく、関わる必要が出てきたときに繋がればいい。

ネットワークづくりに奔走するとそれだけで疲れてしまうという意見には山崎さんも頷いていました。

 

マイナスからプラスの側面を見出す

大南さんの思考法で特徴的なのが「マイナスな結果をプラスに考える」という点。質問の回答でも「失敗を失敗と思わない」「うまくいかなかったことから何かを探す」という言葉をよく使われていました。

大南さんらが神山町アーティスト・イン・レジデンス※1の活動を始めた頃は、住民からは冷たい目で見られることもあったようです。参加人数もなかなか増えない現状があったようですが、しかしそこで逆に、「自分たちの活動を邪魔されることが少ない」というある意味ポジティブな面を捉えたことが現在の神山の活性化に繋がったのかもしれません。無我夢中で活動を続けた結果なのでしょう。

大南さんの活動が紹介される際には「創造的過疎」というキーワードが使われることがあるようですが、これは「人口が少ない」という社会的問題として挙げられるような面を「逆に考えれば、過疎は人と繋がりやすい状況なんだ」という発想に転換できる大南さんの思考法自体も表しているのでしょう。この思考法は、ある事象の中からプラスとマイナスを見出すというよりも、弱点を強みに変える、と言ったほうが感覚的に近いと思います。地方コミュニティの限られたリソースを最大限活かすには重要ですね。

 

無理をせず、長い目で、相手の考えを尊重しながら

トーク中には「頼まれてできることをやる」「相手(住民)の考えを尊重する」と一見すると受動的な姿勢を感じる言葉もチラホラ出ることがあったのですが、大南さんの活動で特徴的な点としてはもう一つ、「住民主導のまちづくり」ということが挙げられます。そこには長い目で、地域住民自らで動き出すことを待つ独自のスタンスが垣間見えます。

「住民の意思を尊重する」といえばとてもクリーンな印象で、コミュニティ・デザインの観点ではセオリーであり、理想的でしょう。しかし、周りを巻き込むために広報・PRに力を入れるよりも、いつ参加してもらえるかわからない住民の動向を待つ方がはるかに辛いのではないか…自分がその状況に立てば成果が簡単に出ない状況に苛立ってしまうのではないか、と思うのです。

腑に落ちないぼくは、山崎さんと大南さんのトーク終了後の懇親会で、大南さんに「何がまちづくりを長年続ける原動力になるのですか」という質問を投げかけました。すると、大南さんは笑顔でこんな言葉を口にしました。

「成果を求めるのではなく、『自分たちは良い活動をやっている』という意識を持つことで5年、10年と続けられる。そうすれば、だんだんと成果が出始めるから、それまでやり続けるんだよ」

目を輝かせながら仰られた(自分にはそう思えました笑)その言葉にハッとしてしまいました。

つまり、物事を長期的に見ながら住民の活動参加を「待つ」姿勢は自信や信念の現れ。住民との日頃からの交流や要望のリサーチ、そして頼まれたことをやり遂げるという小さな積み重ねが、今の大南さんの働き方に繋がっているんだなぁと思いました。


山崎さんも大南さんも初めてお会いしましたが、とてもエネルギッシュで素敵な方たちでした。 まちづくりをしていても、その土地の状況や活動スパンを考えるとなかなか大南さんのような境地に達することは難しいかもしれませんが、人との関わりにおいては、非常に面白いエッセンスの詰まった話だったように思います。

<ハタラク>をデザインすることについて、社会人になるまでもっと考えてみようと思います。  

※1各種の芸術制作を行う人物を一定期間ある土地に招聘し、その土地に滞在しながらの作品制作を行わせる事業(ex:イン神山)

2013年の振り返り/2014年は軽々しく「自己成長」を求めない

あけましておめでとうございます。 年は明けてしまいましたが、勝負の年であった2013年の総括と、今年の目標を。

災害を見つめ続けた卒業研究

卒業研究については2012年の春からずっと、約2年間考え続けたので、今回ではあまり触れません。もう少しまとめてから書き残したいなと思います。ただ一つ言うとしたら、自分の卒論の出来どうこうではなく、震災発生当時から抱いていた思いを形にできたことは本当にありがたいことですし、貴重な体験ができたなと思っています。そういう点では、自分の卒業論文には満足しています。

また、報告できていませんでしたが、論文も無事に提出できました。お世話になった方々にはとても感謝しています。1月末の卒論発表会後にフィードバックをさせていただきたいと思っていますので、今しばらくお待ちください。

思えば安田菜津紀さんや佐藤慧さんの写真展や、道のカフェプロジェクトのボランティア、桜ライン311の報告会植樹の手伝いといった感じで、一年間で最も時間をかけたのが災害関連でした。

 

 

挫折を経験した院試

時間軸には逆行しますが、8月には大学院入試がありました。 久しぶりに会う人によく聞かれるのでFacebookにでも簡単に報告すればよかったなと思ったのですが、実は残念ながら夏の募集では志望校に合格することができませんでした。

それも、惨敗。笑

幸いにも、志望校には冬の募集枠があるので、現在はそれに向けて勉強しています。 受かったらまた報告します。

受からなくても、やっぱり報告します。

 

  

関わり方を悩んだWorldFut

去年のWorldFut TSUKUBAでは代が一つ下の後輩に移り、自分は積極的な参加をしませんでした。周りにはその理由を、今までにあまりにも関わり過ぎたために団体に自分の色が残りすぎるのを良くないと考えたから、なんて答えていましたが実際のところはなんとも言えません。

もしかしたら、団体のために自分が費やした時間を考えた時に、報われない自分が嫌で、自分の考え=団体の総意だと勘違いしてしまうことを恐れていたのかもしれません。そういう意味では、今年は個人的にはまあまあな関わり方ができたのかもしれません。

あとは自分のカッコいい活動の終え方ばかり考えるのではなく、後輩たちに何が残せるのかを少し考えながら団体を離れていこうかなと思っています。

 

 

12/28に行われた総会「WorldFut Family Day」にて。 


成長を求め過ぎない

2013年を総括すると、「成長とは何か」を考えさせられた一年でした。 ぼくは昔から自己成長を良しと考える節があり、直面する多くのことに対して自身のレベルアップを求めすぎてしまうところがあります。そんなぼくは去年一年間に困難や挫折を体験する中で、認識にブレが生じ、いつの間にか成長を成果ではなく、目的として扱うようになっていました。

成長を結果に求めすぎることは、全ての挑戦の帰結点を「自己に起きた変化」という主観的な尺度に置いてしまうことになり、創出すべき価値や選択すべき行動における判断を鈍らせ、適切な評価ができなくなります。何と勝負しているのかわからなくなり、本当に大事なものを見失うことは人生にとってプラスにはなりません。

目的や達成基準に沿って目の前のことに全力で取り組み、得られた成果から次の行動を選ぶ流れの中で、どこかのフェイズに自分の変化がおまけで付いてくる、くらいの認識が、少なくとも自分には合っている気がしました。あくまで成長はより良いPDCAの副産物と認識し、目的はもっと別だということを肝に銘じたいと思います。

 

今年はとりあえず進路が決まり次第動き始める予定ですが、興味のある事柄に対して体系的に学んでいくことを目標にしたいと思います。

そして、卒論執筆中には卒論指導教員に日本語能力を疑われたので(どうやって入学したの?とか聞かれました、恥ずかしい)、このブログを練習の場としても活用していきたいと思います。 経験や思考や趣味(?)など少しでも多くの人と共有し、磨けたら、という思いで2014年も頑張りたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。  

 

2014年1月2日 帰省途中のSAより

 

初夢に出なかったので、実際に見た一富士。

【冬の東北旅】植樹作業のお手伝いを通して考えたこと

前回の更新からだいぶ経ってしまいましたが、12月はじめに行った東北旅のことを少し書き残しておこうかなと思います。

前回の記事↓

【冬の東北旅】陸前高田のソウル&ファストフード!?「みつわ飯店」 | 食 | Tactics 24

そもそも今回の旅の目的は、友人である光一さんの引っ越し作業だったのですが、個人的には大学の卒業研究を災害ボランティアを対象にしたものだったので、桜ライン311の活動見学と、スタッフの方にお話をお聞きしたいと思っていました。

陸前高田に到着するとすぐに桜の植樹へ。 この日はNPOに寄贈された桜の苗木を理事が植えていく、2013年の冬場では最後の日。 理事の皆さんのレクチャーを受けながら、陸前高田市内を植樹して回りました。

 

  植える場所は様々。 津波の到達点上を辿ると、小高い山や、民家の隣の畑の中や、道路の脇にも。 こんなところまで波が来たのか、と改めて自然の脅威を思い知らされました。

実際にやってみると、傾斜のあるような場所ではうまく穴を掘れなかったり、途中で大きな岩を掘り当ててしまうと少し場所を移さなければならなくなったり。苗木を一本植えるだけでも一筋縄ではいかない作業でした。

これを繰り返すのはなかなか大変なものです。陸前高田市内の津波の到達ラインは約170kmにものぼるので、この上に10m間隔で桜を植えるということを考えると、その本数は17000本。植え終えるには長い年月を要するこの方法は、正直に言ってとても効率的なやり方とは思えません。ただぼくには「津波の教訓を伝承する」という活動の目的を考えると、人の手で丁寧に一本一本、その土地の人たちとの対話を繰り返しながら植えていくことにとても意義があると思っています。

 

話は変わりますが、植樹作業を通して個人的に得たことがありました。

それまで卒論で使う文献でしか得ることのできなかった震災の知識や経験談を、植樹の際にお会いした方とお話をしたり、今は更地になってしまった土地の背景に触れることで、バラバラだった知識を肉付けされた体系化した知識として得ることができました。そして、卒論執筆中はいつも本に書いてある文字からでしか震災当時の状況を想像することができず、「多くの人が亡くなった痛ましい災害」というような認識に陥りやすかったのですが、一筋縄ではいかない植樹作業をしながら住民の方とする対話の中で変化がありました。

 

多くの友人をなくした方。

仕事をなくした方。

家が流された方。

運良く逃げられた方。

 

そこには同じ災害を経験しても、おそらく誰一人として同じ経験をした方はいませんでした。そう思ったとき、ビートたけしさんによる震災後のこの発言をちょうど思い出しました。

今回の震災の死者は1万人、もしかしたら2万人を超えてしまうかもしれない。テレビや新聞でも、見出しになるのは死者と行方不明者の数ばっかりだ。だけど、この震災を「2万人が死んだ一つの事件」と考えると、被害者のことをまったく理解できないんだよ。 じゃあ、8万人以上が死んだ中国の四川大地震と比べたらマシだったのか、そんな風に数字でしか考えられなくなっちまう。それは死者への冒涜だよ。 人の命は、2万分の1でも8万分の1でもない。そうじゃなくて、そこには「1人が死んだ事件が2万件あった」ってことなんだよ。 ー週刊ポスト2011年4月1日号「21世紀毒談特別編」

 

こんな単純なことを忘れそうになっていたのが恥ずかしいですが、見失ってはいけないそのことを思い出せたことは、これから震災について学ぶにあたりとても意義のあることだったと思います。 今回の旅はバックグラウンドの感受性を高めることができた3日間でした。

 

お話をしてくれた、出会った人たちに本当に感謝しています。 ありがとうございました。 桜の美しい花が咲き誇る頃に、またこの地を訪れることができたら、と思います。

 

 

【冬の東北旅】陸前高田のソウル&ファストフード!?「みつわ飯店」

どうも!土曜、日曜、月曜と3日間、車で岩手県陸前高田市に行ってきました。 いつも何かとお世話になっている小川光一さん(@Koichi_Ogawa)が12月でNPO法人桜ライン311としての活動をしばらくお休みするということで、その前にと実際の活動を見せてもらいました。 今回から何個か続けて東北の旅の記録を書いておきたいと思います。

桜ライン311の報告会に参加した時の記事はこちら↓

【震災】桜ライン311の報告会に行ってきました |災害 | Tactics 24

実際に活動のお手伝いもしたんですが、それについては別の機会に。 とりあえず滞在中で食べたご当地グルメをご紹介!!

なんてったってね! それが重要だもんね!! (そんなことないよ)

今回は地元住民に愛され続けている中華料理屋さん「みつわ飯店」さん。

13時過ぎでも店内はほぼ満席。家族連れのお客さんが多かった印象でした。 中に入ると気の良さそうなおばちゃんが出迎えてくれます。

中華料理屋さんということですが、みつわ食堂は丼ものも裏メニューもたくさんある、定食屋さんのような感じ。作業後でお腹が空いていたので、ぼくはカツカレーの特盛(650円)を注文しました。

▼カツカレー特盛!

どん!! 実はこのお店はメニューのボリュームがウリ。通常の並盛りでもかなりの量がありますが、特盛となると大人の男性でも苦労するレベルです。つくばもメガ盛りメニューのお店は多いですが、名物メニューの量が突出してて、他のメニューは普通、というのがだいたいです。しかしみつわはスタンダードがメガ盛り。学生にはありがたいっす! (高田には学生はあんまりいないけど)

そしてそのメガ盛りな料理の提供スピードも早い。満席の店内にも関わらず、特盛がメニューが10分足らずでどんどん出てきます。あまりにも早かったので5人前の特盛カツカレーが揃い踏み!!

▼特盛レンジャー!!

皿を顔に近づけると大きさがわかりますね。 味の方は大味なのかと思いきや、マイルドでどこかコクを感じる優しいカレーです。 家庭的で、まさに「食堂の味」ど真ん中にも関わらず、全くスプーンが止まらない! 一気に完食してしまいました。 そのほかのメニューもとても美味しそうで、女性でもガッツリ食べていたように思います。 今度は「角煮ラーメン」が食べたいなア…

高田にお越しの際はぜひ立ち寄ってみては!

【今回のお店】 店名 『みつわ飯店』 住所 岩手県陸前高田市高田町字中和野25-1 時間 11時~19時LO 休日 不明