いなたいショーケース

反射的に投げ込んでいく実験です

新サービス「note」をはじめてみました/美しい南信州の桜写真集を販売します

最近始まったcakesの新サービス「note」に登録してみました。 note ――つくる、つながる、とどける。 スクリーンショット 2014-04-10 19.53.42

ぱっと見た感じはTumblrに似ている感じのインターフェースで、画像、テキスト、音楽、動画などのコンテンツを投稿できるようになっています。しかしTumblrとの大きな違いはそのコンテンツを少額から販売することができる点です。金額は100円から10000円までの間で設定することができ、新たなマイクロビジネスの場になる予感です。

また、コンテンツまるごとを無料にするか有料にするか選択できるだけでなく、ビジネスサイトのように「ここから続きは有料」とテキストの有料ゾーンを区分けしたり、コンテンツ全文を無料公開して文章の最後に有料ゾーンを設定することで「投げ銭」スタイルを作ったりできるようです。

それ以外にもいろんなnoteのスタイルがあるようで可能性を感じるサービスになっています。

参考:noteの面白い使い方をまとめてみた。(投げ銭、ファンクラブ型など) - 灰色ハイジの観察日記

というわけでせっかく登録していたので有料コンテンツを作ってみました。 note/こうめい スクリーンショット 2014-04-10 18.02.35

内容は何にしようか迷ったのですが、最近実家に帰省した時に地元の桜が綺麗で、ところかまわず撮影していたらすごく写真が増えてしまったので写真集にしてみます。わーい! 桜の名所を調べてみたらこんなにたくさん銘木があるとは思わず、驚きながらも十数ヶ所を巡りました。撮影の技術はありませんが桜はどれも美しいですよ!

IMG_7967                       写真集の中の一枚

ぶっちゃけTwitterとかFacebookで公開しているんで購入する必要は全くないんですけど、しばらく収入源が安定しないこともあり、買っていただける方はお小遣いと思ってぜひポチっとしてみてください。忙しくて花見ができなかった方も、ふるさとの桜に思い馳せる人も、「知る人ぞ知る桜の都、南信州の名桜写真集」をどうぞご覧ください♫

movieのYoutubeとの連携やテキストのWindowsデバイスでの読みやすさ(まだ確認していないので…)などが気になるところですが、それぞれ思い思いのnoteが展開されたら面白そうだなーと思うので要チェックです。

大学院に落ちてわかったこと

こんなダサいタイトルの記事に価値はないかもしれません。 ただここに書くことは自分の本質を貫くことな気がしてならず、ついに書いてしまいました。この時期に。

ぼくは大学4年で内部の大学院を2回受験し、2回とも落ちました。 そして研究生として研究室に残ることよりも、別の進路を目指すことを選択しました。

大学の同期が卒業し、社会人や大学院生となった今春。 ぼくは今休学しています。

休学した自分が今何をしているかはさておき、今回は約1年間の大学院受験を経て思ったことを少し書こうと思います。こんな恥ずかしいことを書こうと思ったのは、周りの友人たちが大学院に落ちたことを気遣ってくれて一向にネタにしてくれなかったので、じゃあそれなら自分で書いちゃえ!って思った次第です。

爽やかなスタートを切った友人たちへのハナムケの言葉になればいいな、なんて思います。たぶんならないけど。

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photo credit: kevin dooley via photopin cc

若さを引き換えに研究をすることへの恐れ

ぼくの受験のスケジュールを整理しておくと、
【大学3年次】
2月 ぼちぼちと勉強スタート

【大学4年次】
6月 志望校選定。内部の大学院だけを受験する。

8月 受験(1回目)一日目の筆記試験で躓き、二日目の面接に進めず。

9月 もう一回勉強スタート

12月 今度も内部にだけ願書提出。

1月 受験(2回目)また筆記試験で落ちる。

って感じです。内部だけを志望した理由は、今の大学がやりたい研究をさせてくれるベストな場所だと考えていたからです。もしかしたら他にいい環境があったかもしれませんが、別に後悔をする選択ではありません。難易度についても、ぼくが言うのもおかしいですがそこまで高すぎることはないと思います。

内部生も外部生もある程度フラットな立場で評価されていると思いますが、根拠はないのでこれについては割愛。とりあえず、ぼくは落ちたという事実だけ。

1回目の受験に失敗したとき、いろんな進路の選択肢が頭の中で駆け巡りました。再受験、就活、休学……ありとあらゆる選択肢を考えた時、自分は20代前半で研究に没頭できるのか、という疑問が浮かびました。今ここで研究室で何年かを過ごすチョイスをすることに対して、不安というか、怖さに近いものを感じたんですよね。

自分の専攻は多くの理系研究室のように修士からの就職先が数多くあるわけでもないので、そのまま研究者になるか、そうでなければ上級公務員などに行くパターンが普通のようでした。こう言うと研究者志望の方に誤解を与えてしまうかもしれませんが、ぼくはどうしてもいつ空くかわからないポストを求めて研究室に残り続ける自分がイメージできませんでした。

そういう進路を否定しているのではなく、まだ年齢的にも選べる選択肢がある中で、他の興味関心があるものを置いて研究を続けられない気がしたのです。

昔からぼくは好奇心旺盛でいろんなことに興味が出る一方、飽きっぽく、すぐ熱が冷めてしまうところがあるので、選択肢を一つひとつ潰していよいよ追い込まれた段階じゃないと研究室の机に向かっていられないと思ったのです。1回目の受験が終わった時に感じた怖さは、他の選択肢を捨てて研究に向かう覚悟ができていない現れでした。

大学院に入れる自分になりたかった

カレンダーに戻る。 1月末にはもう一度受験がありました。これがラストチャンス、と思いながら卒論を書きながらの受験勉強を続けました。根拠のない自信は常にあって不思議と落ちるイメージがなかったのですが、かといって集中して他の人よりも勉強していたかと言われると、今思えばそうでもなかった気がします。

結果は不合格。今回も筆記で落ちたのでぐうの音も出ない結果です。

勉強方法が悪いのか、ぼくの頭が悪いのか、たぶん両方だろうけどそれはあまり関係なくて、問題は受験が終わった後すぐ気持ちが次の進路に向き合えたことでした。さすがに2回筆記で落ちたのでアカデミックな世界は向いていないと思ったのもありますが、悲しい現実に目を向けなかったのはなぜなのか。

ぼくはどちらかと言えばサークルとかバイトとかで学生生活を費やした人間でした。言ってしまえば、大学の勉強以外ではそこそこ成果を出していたと思っています。

弱点は毎日の授業でした。内容に感心はあるのですがずっと教授の話を聞き続けることが苦手で、それよりも大学に提出する書類を作ったりニュースサイトを見ている方が好きでした。ただ、そんな自分は嫌いで、授業が少なくなった3年4年になってから後悔の思いが募るようになりました。

たぶん一般的に言えばぼくは劣等生でした。

その劣等生の学生生活最後の進路決定のタイミングで、課外活動に打ち込みすぎた後悔を「大学院合格」という免罪符でごまかしたかったのかもしれない。充実した大学生活の最後の「学業」というピースを埋めるために、キャリアではなく、たぶん結果が欲しかったんです。

しかし自分の理想像と実際の能力とのギャップは大きく、結果は得られなかった。だから次の自分の空白を埋めるためにすぐに他の選択肢を選べたんだと思います。自分はとても不純で、とても幼稚でした。満足はしてもしきれないのに。

本気で研究したいなら、いつでもできる

そんなこんなで進学の選択肢は綺麗さっぱり諦め、別の進路を歩もうとしていた矢先のこと。最近社会人院生の方と話す機会がありました。

その方は企業の人事部に勤められていて、研究について楽しそうに語る姿が印象的でした。その方は研究と実践(仕事)がクロスオーバーしていて、実生活に即したテーマを研究に引っ張り、アウトプットを仕事に持ち帰ることをされていました。

ぼくはその研究スタイルが羨ましく、ありたい姿だと感じました。個人的には「研究するなら実践科学(に近づけたもの)じゃなきゃイヤだ」っていう思いが強いので、仮説と実生活の中での現象との差異であったり、アクションの影響性を直に感じられるところにLike!って感じ。

社会人の院生は夜まで仕事をし、その後大学院に来るような負担の大きいであろう生活でも、やりがいを感じられてる(すごく陳腐な表現で情けないけど)。もちろん普通に研究していてもやりがいは得られるだろうけど、論文投稿をしてより広く知られる研究者として大成したいとかじゃなくて、もっとミクロな課題に対してアプローチして自分もその影響を感じられる(かもしれない)場にいられることが素敵だと思いました。

その方とのお話の率直な感想は「忙しくても『今研究したい』というタイミングを得ることができれば、研究は可能なのかもしれない」ということ。少なくとも「今じゃないのかもしれない」と思えるようになったのです。

そう思った時、研究への恐れとか大学院合格の結果が欲しかった傲慢な自分とかすごくネガティブだった思いが消えて、いつか進学のチャンスをもう一度掴みたいという思いが生まれました。

というわけで要するに、チャンスはいつかまた巡ってくるだろう、っていうつまらないオチ。 ただ、気持ちは晴れやかです。

いろんなものを背負いながら本気で向き合いたいことが見つかって、もやもやしたものが胸のあたりでつっかえていたのが取れた気分。

ここからを新たなスタートとして頑張っていけたらと思っています。

それでは長くなりましたがこのへんで。

Juice=Juiceも℃-uteも新曲がかっこよすぎる件

2月26日のハロ!ステで公開されたJuice=Juiceの新曲『裸の裸の裸のKISS』と℃-uteの『Love it take all』のフルMVが公開されました。

はじめに言っておくと、これ、マジでカッコいいです。

まずはJuice=Juice。

Juice=Juiceは今のハロで末っ子ですがカッコいい曲がズドンと来る。王道『ロマンスの途中』→哀愁感じるジャズ風味の『イジ抱き』と来て、今回はフラメンコをイメージした楽曲。衣装も黒を基調に赤い差し色が入ったもので赤いライトですごく映えますね。妖艶さ、と言うと行き過ぎなんだけど、デビューして1年ほどのキャリアが生む「背伸びしたセクシー」とでも言うんだろうか…

サビのカスタネットクラップもニクいです。ぼく好きなんですよラテン系が。 余談ですが個人的にはフラメンコギターのサウンドってジプシー・キングスを思い出しちゃう。 昔フジテレビで二代目中村吉右衛門さん主演でやってた「鬼平犯科帳」っていう時代劇があって、その番組のエンディングになぜか彼らの曲が使われていて。舞台は京都のはずなのに、これがフラメンコが映像とすげー合うんですよ。 今回のハダキスのセットは神社とかお寺っぽいなんだけど、ちょっと鬼平意識してんじゃないかな、って。

メンバーのことで言えば、個人的にはさゆべえこと高木紗友希さんが今回はドハマりしてます。こんなにカッコ良かったっけ?ってくらいカット一つ一つの表情が良く見える。相変わらず金澤ローズクォーツさんはいい声してるし、今回は曲にマッチしてますね。美しい。 宮本さんはどの曲でもど真ん中センターって感じで揺るがないから、こういう星の下に生まれてきた人なんだろうと思うことにしました。いじめられてないよね大丈夫だよね…笑 ゆかにゃとあーりーの歌割りが少ないのは前回と同じで両A面の『アレコレしたい!』の方が主役になっているんだろうよきっと。

そして℃-ute

今回はスピード感あるダンス曲ということでイントロからカッコよさ爆発!ズドン! スクリーンショット 2014-02-27 13.34.36 しょっぱなからタイトルがキマリます。 タイトルは「すべては愛しだい」とかって訳すのかな、これって。 そうだよね、愛だよね。正統派パフォーマンスアイドル℃-ute様が言うんなら全ては愛だ!今年のハロは愛を叫ぼう!!

曲自体は前作『愛ってもっと斬新』の流れを汲んでいる疾走感ある曲。両A面の『心の叫びを歌にしてみた』のポップさと打って変わって、なんてパワフルでドラマチックなメロディーなんだ!(心の叫び)

そんでもってこのMVの見どころはなんといってもソロダンスでしょう、間違いなく。テーマカラーのライトで照らされた5人全員が文句なしにカッコいい。ダンスは振付師の先生の好みかなんだかどこかで見たような振りだけど、その一個一個をバシっとキメてくれるおかげで曲の完成度が格段に上がってる。℃-uteの曲はDance Shotバージョンが見たくなります… ライブもすごいんだろうな…

この曲は萩原舞さんが一番ハマってるかな。ちょっとやんちゃしてる感じが。(古い考え) でも全員カッコいいよこれ。今年のハロはすげーです。

2曲ともつんく♂さん、本気出してんなあ……

2014年3月19日 発売予定

2014年3月5日 発売予定

結プロジェクトにワクワクする心を思い出した

H2Aロケット打ち上げ成功 GPM衛星、予定の軌道に:朝日新聞デジタル

昨日の早朝、というか朝3時ごろですね。種子島からH2Aロケットの打ち上げが行われました。 今回の打ち上げに関する主なミッションは全球降水観測(GPM)衛星という、今よりも地球の降雨量や気象情報を詳しく観測できる衛星を飛ばすことらしく、近年異常気象が目立つ日本だけでなく国際的にも意義のあるプロジェクトのようです。技術開発のノウハウを国の間で伝達するのではなく、観測データを各国間でやりとりして自国の気象予測に役立てることがこれからの時代に重要なのでしょうね。

さて、そんなロケット打ち上げなんですが、実はリアルタイムで見ていました。大学で。 実は今回のH2Aロケットには日本の大学で開発された小型衛星がいくつか積まれており、筑波大学の衛星もその中に含まれていたのです!昨日はその小型衛星プロジェクトが主催してパブリックビューイングが未明から行われていたので見に行ってきました。

筑波大学の衛星はITF-1と言う名前らしいのですが、愛称は「結(ゆい)」。衛星信号を用いて世界の人々を結びつけることをミッションとしているようです。

誰もが簡単に衛星信号を受信・報告でき、衛星と受信者のみならず受信者同士をつなぐ仕組みを作ります。宇宙に親しみのない人や、子供のうちから衛星に触れることで、宇宙開発の裾野を広げます。そこで構築されたネットワークから、宇宙を題材にした新たなミッションが生まれることも期待でき、未来へ向けた無限の可能性を秘めています。 About : 筑波大学ネットワーク衛星「結」プロジェクト ~ University of Tsukuba YUI Project

パブリックビューイングには朝3時という時間にも関わらず、大学の講義室に50人以上が集まっていました。

種子島にいるプロジェクトスタッフの筑波大生とskypeを繋いでインタビューなども。 ロケットが無事打ち上がる前から興奮している様子がとても印象的でした。「ぼくたちにはこの打ち上げがゴールではなく、スタートです」っていう言葉、スケールが宇宙になるとさらにカッコよくなるんだな… みんな心から楽しんでいて、すごい羨ましく思いました。

最近では先輩の鈴木裕行さんが、リクルートジョブズ主催のプレゼンイベントで「宇宙の魅力で多くの人を笑顔にしたい」と題して発表、見事優勝されたりと、宇宙関連の話題が身近に多く出てきています。筑波大の新たな看板領域になって欲しいですね。 「大学生の夢」実現に100万!天文学者のタマゴの新たなアイディアに。(秋元祥治) - 個人 - Yahoo!ニュース

ぼくも小さいころから「宇宙のひみつ」みたいな漫画を読んで育ったのでこういう話題には本当にワクワクします。星座とかめっちゃ覚えて、田舎の澄んだ星空をよく見上げていました。結のスタッフや鈴木さんは、みんな時折子どものように屈託のない笑顔を見せますが、ぼくも打ち上げの瞬間は前のめりになって画面を見ていたくらい、子どもの頃の気持ちを思い出させてくれました。

宇宙もそうですが、何が起こるかわからない場所には本当にロマンが溢れています。それは空の向こうでも、海の向こうでも、山の向こうでも同じで、そこに足を踏み入れようとする心意気そのものが今の生活を変化させていくのでしょう。スケールはどうであれ、小学生の頃に隣町の公園に遊びに行った感覚で、これからも常に面白そうなところへ冒険していきたいなと思います。

NYタイムズが解説するフィギュア羽生選手の画像がわかりやすい

【フィギュア】羽生、男子初「金」ソチ五輪日本1号!:冬スポ:スポーツ:スポーツ報知

ついにソチで日本人金メダリストが生まれましたね。羽生選手はそのあどけない表情とかわいらしいキャラ(こんなこと言うと失礼かもしれないですが)で日本のみならず現地でも人気があるようで。 いつもプーさんのぬいぐるみが彼のスケーティングを見守っている画は有名になりました。

 

フリーの演技では羽生選手は2回転倒してしまったのですが、それでも高得点をマーク。その判定にネットでは疑問の声があがっていました。そんなことを知ってか知らずか、彼の金メダル獲得の理由をNYタイムズが解説したグラフィックが話題になっています。

Hanyu Falls Twice, but Still Wins Gold - NYTimes.com

記事では羽生選手と銀メダルだったパトリック・チャン選手のジャンプの得点をわかりやすいグラフィックと共に掲載しています。とても見やすい!勉強になりますわー。

比較画像と解説を見たところでは、演技構成のジャンプの基礎点に大きな差があるのがわかります。ショートプログラムより約2分ほど長いフリーの後半にトリプルアクセルが2回入っており、疲れのたまるこの時間にジャンプを入れ込んだ構成に脱帽。うん、カッコいい。

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a_triple-axel-double-toe-h5                   - The New York Timesより

普段の姿からは想像できないような力強さを感じるスケーティング。 ここからさらに表現力が増していけば、憧れのプルシェンコに肩を並べるようなレジェンドになってくれるはず。期待できますね。

そして5位の町田選手、6位の高橋選手もお疲れ様でした。メダルには惜しくも届きませんでしたが、オリンピックの舞台で活躍する日本人選手が見られて感動です。ソチ五輪、ますます盛り上がりそうですね!

それでは!

高校生のコミュニティデザインに思ったこと

先週の金曜日は豊島区の都立千早高校におじゃまして、「コミュニティデザイン」の授業を見学してきました。

この授業は、高校生自身が身の回りの関心ある社会課題に対して、独自の調査や現場での体験などのアクションを行い、理想の社会像の実現に向けて解決策を提示する、というもの。 千早高校は2004年に開校した新しい高校で、ビジネス教育を重視した特色あるカリキュラムの中でも初期の頃からこの「コミュニティデザイン」の授業が行われてきたそうです。昨日は約1年間生徒たちが行ってきた取り組みの発表会でした。

 

発表した9人の生徒たちは、自分の関心や行動の軸に沿ったコミュニティへのアクションを、素敵なプレゼンで発表してくれました。

発表の感想としては、自分の好きなこと、アイデンティティ、これまでの体験など、かなり共感性の高いテーマの発表が多く、一人ひとりの発表に引き込まれたのはぼくだけじゃないはず。まるでオムニバスのショートストーリーを聴いているようでした。

発表のスライドには描かれないものの、詳しく聞いてみると背景にはその子のコミュニティデザインのストーリーがあったり。人知れずチャレンジをしていたり。もうね、初めて会った子の発表なのに涙ちょちょぎれちゃいます。

 

プレゼン自体も本当に上手! 立ち振る舞いが堂々としていたのはもちろんですが、アイコンタクトをしっかりとってくれたり、ちょっとした動きのあるワークを盛り込んだり、ジョークを言って緊迫感のある状況をリラックスさせたりと、とても高校生のプレゼンとは思えないような落ち着きよう。

見ている人の注意を惹くのが上手な子ばっかりで、ぼく自身が人見知りで緊張しいなので羨ましく思えました。笑 きっとしっかり練習してきた成果なのでしょう。

 

ゲストとしてコメントをしていたライターの方は、 ①ストーリー性 ②どれだけの課題解決を盛り込めるか(一石何鳥であるか) ③楽しく継続できるか

という3つの観点に着目するようにということを言われていましたが、確かにステークホルダーをどれだけ増やすか、どれだけ人を巻き込めるか、というのはすごく重要かなと。小さなアクションでも、他者との共感の接点が多ければ多くの人に関わりを持ってもらえるようになりますよね。9人の発表はその点で工夫されていたものが多かったように思います。素晴らしかった。

 

ちょっとだけぼく自身の話をさせてもらうと、ぼくは高校生時代に特に自分のやりたいと思える活動軸もなく、社会課題や身の回りの疑問に対してアクションを起こすこともない、普通の生徒でした。問題に対して興味がないというわけではなかったのですが、自分の中で「高校生が一般社会に対して与える影響なんて小さいものだ」という考えに囚われていたのだと思います。やりたいことをとことん突き詰めようと思わなかった理由の一つがそれでした。

今でこそ灘高出身のクリエイターであるTehuくん(@tehutehuapple)だとか、女子高生起業家の椎木さん(@rikashiikiamf)のようなティーン活動家がメディアで取り上げられるようになってきましたが、それもごく最近のこと。ぼくは中高生の間でいいロールモデルに出会うことができませんでした。

しかし千早高校の生徒たちは周りに素晴らしい大人たちがいて、自分の軸をもって活動を深めようとしているから、ぜひともアクションを形にして、仮説検証を繰り返し、自分の限界に囚われることなくチャレンジしてね。お兄さん期待してます。

「興味・関心の追求に年齢の限界はない」という、ぼくが大学に来てやっと(恥ずかしながら)知ることができた大切な言葉があります。彼らには若さあふれる活動で、これからもぼくたちに、社会に刺激を与え続けて欲しいと思います。

 

【〈ハタラク〉をデザインする】山崎亮さんと大南信也さんの対談で思ったこと

 

先週火曜日にコミュニティデザイナーの山崎亮さんによる対談イベントに行ってきました。 タイトルは「〈ハタラク〉をデザインする」というもので、毎回異なったゲストと一緒に新しい働き方を考えよう、というイベントです。

山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする - Asahi Shimbun Digital[and]

過去の対談の記事もあります

 

 

ぼくが行ったのは第6回。ゲストはNPO法人グリーンバレーの理事長である大南信也さんでした。 大南さんは徳島県神山町で90年代初めから住民主導のまちづくりをされてきた方で、日本で早くから地方の活性化に努められていました。

これまでの5回はゲストの働き方に着目していたようなのですが、山崎さんも大南さんもまちづくりをお仕事とされていることもあり、今回の対談はより「地方でコミュニティにアプローチする」ということにフォーカスしたものとなったようです。

会は15分ほど大南さんがお仕事の内容を紹介された後、参加者で5〜6人のグループを作り、話し合って質問を出すという流れになりました。その中で感銘を受けた大南さんの言葉をメモします。

「やりたい人がやればいい」

「地元の方をどうやってまちづくりの活動に参加させればいいか」という趣旨の質問の答え。 振り切っているように思える言葉ですが、確かに全ての人に自分たちの活動を賛同してもらえるなんてのは現実的に難しい。どうしても地域自治体はお役所的に数字で結果を求めてしまうかもしれませんが、どれだけ参加人数が少なくても、その中で現れた成果の質を重視したいというのが大南さんの考えだそうです。

また、神山町で活動する他のNPO団体の連携についても、「それぞれやりやすいこと、やりたいことがあるのでそのままにしておく」とのこと。あまり活動の関連が強くない団体とのネットワークづくりを優先するのではなく、関わる必要が出てきたときに繋がればいい。

ネットワークづくりに奔走するとそれだけで疲れてしまうという意見には山崎さんも頷いていました。

 

マイナスからプラスの側面を見出す

大南さんの思考法で特徴的なのが「マイナスな結果をプラスに考える」という点。質問の回答でも「失敗を失敗と思わない」「うまくいかなかったことから何かを探す」という言葉をよく使われていました。

大南さんらが神山町アーティスト・イン・レジデンス※1の活動を始めた頃は、住民からは冷たい目で見られることもあったようです。参加人数もなかなか増えない現状があったようですが、しかしそこで逆に、「自分たちの活動を邪魔されることが少ない」というある意味ポジティブな面を捉えたことが現在の神山の活性化に繋がったのかもしれません。無我夢中で活動を続けた結果なのでしょう。

大南さんの活動が紹介される際には「創造的過疎」というキーワードが使われることがあるようですが、これは「人口が少ない」という社会的問題として挙げられるような面を「逆に考えれば、過疎は人と繋がりやすい状況なんだ」という発想に転換できる大南さんの思考法自体も表しているのでしょう。この思考法は、ある事象の中からプラスとマイナスを見出すというよりも、弱点を強みに変える、と言ったほうが感覚的に近いと思います。地方コミュニティの限られたリソースを最大限活かすには重要ですね。

 

無理をせず、長い目で、相手の考えを尊重しながら

トーク中には「頼まれてできることをやる」「相手(住民)の考えを尊重する」と一見すると受動的な姿勢を感じる言葉もチラホラ出ることがあったのですが、大南さんの活動で特徴的な点としてはもう一つ、「住民主導のまちづくり」ということが挙げられます。そこには長い目で、地域住民自らで動き出すことを待つ独自のスタンスが垣間見えます。

「住民の意思を尊重する」といえばとてもクリーンな印象で、コミュニティ・デザインの観点ではセオリーであり、理想的でしょう。しかし、周りを巻き込むために広報・PRに力を入れるよりも、いつ参加してもらえるかわからない住民の動向を待つ方がはるかに辛いのではないか…自分がその状況に立てば成果が簡単に出ない状況に苛立ってしまうのではないか、と思うのです。

腑に落ちないぼくは、山崎さんと大南さんのトーク終了後の懇親会で、大南さんに「何がまちづくりを長年続ける原動力になるのですか」という質問を投げかけました。すると、大南さんは笑顔でこんな言葉を口にしました。

「成果を求めるのではなく、『自分たちは良い活動をやっている』という意識を持つことで5年、10年と続けられる。そうすれば、だんだんと成果が出始めるから、それまでやり続けるんだよ」

目を輝かせながら仰られた(自分にはそう思えました笑)その言葉にハッとしてしまいました。

つまり、物事を長期的に見ながら住民の活動参加を「待つ」姿勢は自信や信念の現れ。住民との日頃からの交流や要望のリサーチ、そして頼まれたことをやり遂げるという小さな積み重ねが、今の大南さんの働き方に繋がっているんだなぁと思いました。


山崎さんも大南さんも初めてお会いしましたが、とてもエネルギッシュで素敵な方たちでした。 まちづくりをしていても、その土地の状況や活動スパンを考えるとなかなか大南さんのような境地に達することは難しいかもしれませんが、人との関わりにおいては、非常に面白いエッセンスの詰まった話だったように思います。

<ハタラク>をデザインすることについて、社会人になるまでもっと考えてみようと思います。  

※1各種の芸術制作を行う人物を一定期間ある土地に招聘し、その土地に滞在しながらの作品制作を行わせる事業(ex:イン神山)